種村季弘『魔術的リアリズム』/フーケ『ウンディーネ』

日曜日。晴。
種村季弘魔術的リアリズム』読了。1920年代のドイツ人画家たち。アントン・レーダーシャイト、フランツ・ラジヴィル、アルベルト・エレボー、クリスティアン・シャート、カール・グロスベルク、ゲオルク・シュリンプフ、リヒャルト・エルツェ、ルドルフ・ヴァッカー。一人として名前を知らないのには、自分に呆れてしまう。

魔術的リアリズム―メランコリーの芸術 (ちくま学芸文庫)

魔術的リアリズム―メランコリーの芸術 (ちくま学芸文庫)

フーケー『水妖記(ウンディーネ)』読了。本作は、フォークロアの深い裏付けがあるに違いない。とてもプリミティヴな感じを受ける、魅力的な幻想小説だ。ジロドゥの『オンディーヌ』(id:obelisk2:20100131)の「本歌」だが、一読した印象はまったく違う。
水妖記―ウンディーネ (岩波文庫 赤 415-1)

水妖記―ウンディーネ (岩波文庫 赤 415-1)

青柳いづみこ推薦のフランソワを聴く。曲はラヴェルの二つの協奏曲で、共に大好きだから、期待して聴いたのだが、さほど感動できなかった。アマゾンのレヴューも絶賛の嵐であり、ジャズ的なノリとかなんとかもわかるのだが、ただ一点、ピアノのマイクが近すぎる。オーケストラと同じほどの音像の大きさであり、ピアノの強音が、汚くてうるさい。聴いていて、ミケランジェリの完璧な演奏が、頭に浮かんできてしょうがなかった。それに比べると、技術的にも苦しい。だけれども、ト長調協奏曲の第二楽章だけは、この感傷的な音楽を、魔術的に弾き切っている。また、全体的に、クリュイタンスの指揮は満足できる。
(※追記 聞き直してみたが、評価に変更はない。だが、ト長調協奏曲の第二楽章、このセンチメンタルな音楽の演奏には、恥ずかしながら泣きそうになるほどだ。ラヴェルは「亡き王女のためのパヴァーヌ」や「優雅で感傷的なワルツ」など、結構センチメンタルな曲を書いているのだが、これには参ってしまう。それにしても、協奏曲だというのに、最初のピアノ・ソロの長いことといったらない。どうしてもオーケストラ・パートが附けられなかった、という感じだ。5/6記)
ラヴェル:ピアノ協奏曲集

ラヴェル:ピアノ協奏曲集