三島由紀夫『サド侯爵夫人』

雨。肌寒い。
三島由紀夫『サド侯爵夫人/わが友ヒットラー』読了。戯曲二篇。「わが友ヒットラー」も水準以上の出来だろうが、「サド侯爵夫人」の傑作ぶりには及ばない。あれほどサドに尽したルネ夫人の「回心」の理由を、サドの『ジュスティーヌ』を読んだ後の、彼女の「思想的転回」に帰しているのがおもしろい。大変バタくさい作品で(特に西洋風の見事な比喩)、仏語訳されたもの(マンディアルグの手が入っているらしい)が今でもフランスでよく上演されているのは、有名な話である。

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)